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2014年3月

真実に近づくことの難しさ

この週末は、久しぶりに映画を2本観てきました。土曜日は少し前から公開されている山田洋二監督の「小さなおうち」で、日曜日は土曜日から公開された湊かなえさんの原作の「白雪姫殺人事件」です。ネタバレは良くないので詳しいことは書きませんが、両方とも観るに値する作品だと思いました。皆さんが、もし面白い作品を観たいなら「白雪姫殺人事件」でしょうし、良い映画なら「小さなおうち」かもしれません。もちろん、両方ともげらげら笑うような話ではなく、考えることは多くありました。


今考えると、この2つの作品の根底にあるものは、「真実に近づくことの難しさ」のような気がしました。人はどうしてもうわべだけのことで評価しがちですよね。特に少し離れた場所にいるとうわべしか見れません。




このブログのテーマは広告ですが、広告こそ、うわべの浅い所を描いた作品が多いかもしれません。毎年講義でベネトンの広告を取り上げています。ベネトンの広告作品に長年携わっていたトスカーニは、現代の広告は現実の真実の姿を隠し、理想の夢の世界のみを人々に見せていると言っています。確かにファミリーカーのCMでは、素敵なパパと美人のママ、そしてかわいい小学生のお姉ちゃんと素直で明るい弟という絵柄は定番です。でも美人のママを演じていた女優が、実は反社会的な事件を起こしていたというのも皮肉でした。事実はそれほど良いことではないのですね。


広告で真実を語るべきか、夢を与えるべきかは難しい問題です。下の広告はDoveのCMです。カンヌライオンで数年前にグランプリをとったものです。本当の美しは作られたものではないということがメインのコンセプトです。ただし、以前このCMについて元同志社大学におられ、今は法政大学に移られた青木先生が、少し批判をされたいたことを思い出します。確かに真実かも知れないが、この企業は別のCMでは化粧で飾られたハリウッドスターを起用していることの矛盾があるということを指摘していたことです。


確かにそうですね。出来れば、うそがなく真実を伝えられるCMが良いと思います。でも広告は夢を見せるものだということも事実です。多くの人はそれに憧れ、ひと時自分がその主人公になる夢を見るわけです。大分前から消費者は、広告は夢の世界を作っているということを気づいていると言われています。でも本当にそうなのでしょうか。特に「白雪姫殺人事件」で取り上げられているSNSでは、本当にそれが見えなくなってていることを指摘しています。TVCMだけでなく、すべてのコミュニケーション活動にうわべだけのことは潜んでいるということを心に留めていたいと思いました。


そして、作り手側もできれば、うわべではく、本当に視聴者が感動できるそんな広告を作ってほしいと思います。

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書評:メディアプランニングナビゲーション

書評というほど大げさではないのですが、最近読み紹介したい本がありましたので少し書きたいと思います。この本も頂いた本ですが、このところ、何冊か送っていただいた本があるのですが、自分の研究もありまだ読みきれていません。同時並行で何冊か読んでいるのですが、「はじめてのマーケティング」「アンバサダー・マーケティング」「キャラクターパワー」も良い本ですのでお勧めです。また別の機会に書かせていただくことにします。


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さて、今日ご紹介するのは『メディアプランニングナビゲーション』という本でADKコミュニケーションチャネルプランニングプロジェクト編著となっています。メインに書かれているのはADKの沼田洋一さんで古くからのお友達です。というか昔は競合する広告会社で同じクライアントを担当していた時期もありました。大変素晴らしいメディアプランナーの方で、私の広告会社に引き抜きたいと思った時期もありました。もちろん無理な話でしたが。現在は、ADKのシニアプランニングディレクターという肩書きで今でも現場のメディアプランを作成されることもあるそうです。私が実務を離れても時々ですが、お会いして今のメディアプランニングの課題などを教えていただいています。





さて、この本ですが、日本では大変珍しいメディアプランニングの実際の手法について述べられています。これまで日本語でメディアプランニングの本を読むには、20年以上前に出された『戦略的メディアプランニング』と『マーケティングからみた媒体プランニング』の2冊しかなかったといえると思います。両方とも翻訳本です。正確にはもう何冊かあるのですが、テレビなどに特化しているものやそれ以前のものは各メディアの特性を述べているレベルでした。





加えて、これまでのテレビを中心とするマスメディアのプランニングにPOE(ペイド、オウンド、アーンド)という新しいコミュニケーションを意識して書かれているのも大変素晴らしいと思いました。実務を離れて10年もたってしまったので、正しいかわかりませんが、マスメディアを中心としたメディアプランニングができる人はどうしても職人的で、SNSなど新しいメディアに疎いところがあり、逆に、最近のネットのプランをされている方は、マスメディアで長年積み上げられたプランニング手法を学ぶ機会があまりないというのが現状だと思います。





それを150ページほどでまとめているのですからすごいといわざるえません。
たとえば、頻度の問題はどうか、期間戦略やエリア戦略をどう決めるのか、ターゲットインサイトに近づくためにはどう考えればよいかなど、今のネット系のコミュニケーションにも十分役に立ちますし、先人の知恵を利用しないのは損ですね。2年ほど前に紹介した福田浩人さんの『ビジネスマーケティング分析入門ガイドブック』もメディアプランニングに大変役立つ本ですが、こちらのほうが福田さんのご本より統計的な部分が少なくなっています。





その分、ある意味ADKさんのPR的な部分もあり、ADKさん独自のデータを使った分析手法で書かれているので、ADKさんと取引がない人は少し厳しい面があります。できれば、3段階で大手の広告会社に依頼しなくても自分で分析できるレベル、ビデオリサーチのACRのような比較的多くの会社で契約をしているデータを用いて分析するレベル、そして大手3社のような独自のシステムで組むプランニングのレベルとわけてあるとさらに良かった気がします。





また、少ないページにこれだけ詰め込んでいるために、経験のない人は少し理解が難しいと思いました。できれば欧米のメディアプランニングのテキストのようにワークブックがついていて、それで自分で試して見れるようなものがあれば勉強になるのにと思ったりしました。それなら「お前が書けよ」といわれそうですが、残念ながら、まだメディアプランニングの裾野のはそれほど広がっていませんので、それらを必要としている人も少ないと思います。OBの方で広告メディアにかかわる方は一度読まれることをお勧めします。その上でもしわからないことがあればいつでも連絡ください。質問にはお答えします。





メディアプランナーという職種が日本に登場してまだ20年ほどだと思います。広告というと兎角クリエイティブに目がいきますが、ぜひメディアプランニングにも目を向けてもらいたいと思いました。

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